『 Nickel and Dimed 』

副題 : On (Not) Getting by in America (Spare Change?)
タイトル訳 :ニッケル・アンド・ダイムド ~ アメリカ下流社会の現実
さて、今回紹介する本は『 Nickel and Dimed 』です。
著者のバーバラ・エーレンライクは、『タイム』や『プログレッシブ』など多くの雑誌に寄稿しているアメリカ屈指のコラムニストです。
この本は、必死に働いても貧困から這い上がれない、アメリカ低賃金
労働者たちの実態を描き、ミリオンセラーを記録した衝撃の潜入ルポです。
日本でも、『ニッケル・アンド・ダイムド』と同タイトルで昨年6月に出版されています。
著者は、この本を執筆するため、1998年から2000年にかけて、肩書きを隠して低賃金労働の現場に入り込み、数百万人のアメリカ人(低所得者)が暮らすようなパートタイムの仕事をしながらの生活を送りました。
実際に職探しをし、生活の場を探し、ウエイトレスや掃除婦、ウォルマートでの店員として働き、見聞した事柄をまとめた内容には、アメリカの貧困層の現実がリアルに描かれています。
世界最大の売上高を誇る小売業、ウォルマートのロゴ付きのベストを着た人々の生活実態は、ホームレス寸前だったという話にはインパクトがあります。
世界中の好況感に対し、日本人だけ実感が薄いということがよく言われていますが、これは日本人という括りではなく、世界中の低所得層が実感していることであり、富は低所得層の労働力の上に築かれているということを改め認識させられる内容です。
日本では、「格差社会の是正」が政治の争点としてクローズアップされていますが、所得の格差が改善されたら、はたして現在の経済システムが機能するのか? といった課題も浮き彫りになるでしょう。
私がいる出版業界も、多くの非技術職の人たちの労働力に支えられていますから・・・
ちなみに「ニッケル」と「ダイムド」はアメリカの通貨で、タイトルのその意味は「低賃金で苦しんでいる人たち」という使われ方をされています。






