『 The Black Swan 』
さて、今回紹介する本は、今週2位にランキングされている 『 The Black Swan 』です。
著者は、やり手の金融トレーダーを経て、現在はエッセイストかつ哲学者として活躍しているナッシム・タレブです。
「The Black Swan」というタイトルだけで、この本がビジネス書であるということをイメージするのは難しいと思います。
Black Swanとは、字のとおり“黒い白鳥”のことを指し、英語圏では“珍しいもの”という使われ方もします。Swanと言えば白い鳥で、黒い白鳥などいない。というのが通説だと思います。
著者のタレブは、黒鳥はその発見によって白鳥はみな白いという通説を覆した存在であると述べ、この誰も予測していなかった出現の例を用いながら、予測できない出来事や当惑するような出来事の意味について、そして珍しい出来事や予測できない出来事の与える影響力について考察しています。
例えば、ベストセラー書が生まれた秘話を知ったからといってベストセラー書が出せるわけではありませんし、お金持ちになった人が書いたノウハウ本を読んだからといってお金持ちになれるわけではありません。
私たちは、何かを予測する際には過去の出来事(歴史)を材料とします。それはそれで正確な予測をする上ではとても参考になることですが、大きな成功を実現するためには過去に頼りすぎてはいけないと著者は主張しています。
私も編集者として「売れる本のつくり方について話を聞かせてくれないか?」とよく頼まれますが、自分が編集した本が売れたというのは、すべて後付の結果論であり、「こうやれば絶対売れる!」など偉そうに言うことなどできません。そんなことを言い切れる編集者がいたならば、ウチの会社でプロ野球選手並の年棒で獲得したいぐらいです。
大きな成功や本当に重要な出来事というのは、めったにないものであるため予測できないものであり、我々が日頃いかに多くの誤った予測のもとに行動しているかを指摘しているのかを本書は教えてくれます。
近年のIT企業であったGoogleの広告業界へのインパクトや、PCメーカーであるAppleの音楽業界へのインパクトというのは、まさに本書で述べられている珍しい出来事や予測できない出来事の与える影響力を示すものだと思います。
異業種からの参入が既存の業界に大きな影響を及ぼす事例が増えている昨今、新たなビジネスを創造する上で参考になる本と言えるでしょう。







