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佐伯泰英から読む、初めての時代小説

[ダ・ヴィンチ]
マガ出典雑誌/男は皆、司馬遼太郎が好きだと思う。特に、『燃えよ剣』が(初っ端から思い切り偏見で本当に申し訳ありません)。 同時期に複数の男性から「『燃えよ剣』は絶対に読むべきだ!」と薦められた経験があり、そんなに言うならばと読んだ。普通に面白かったのだが、どうやら彼らが注目してほしかったのは面白いか否かの一点ではなかったらしい。彼らは、土方歳三の生き様に今なお引き継がれるべき"漢"を感じるらしいのだ。

司馬遼太郎に限らず、時代小説の主人公はえてして現代男性からのシンパシーを得やすい。「必殺の剣をかまえるその腕で、愛おしく女を抱ける侍」。社会にもまれ、家庭や恋人に安息を求める彼らのかくあるべき姿なのだろうか?

さて、時代小説の名手はもちろん司馬遼太郎だけではない。今回紹介する記事では累計2200万部を売り上げる時代小説家、佐伯泰英と彼の書く時代小説を取り上げている。

「お話の中身は嘘でもいいから、2時間読んでいただく間、仕事の辛さや家庭の憂さを忘れていただけるような小説をご提供したいと考えているんです」と言い切る筆者が描き続ける男性像の共通点は唯一つ。それは、「男は女性に優しく、女性を守る存在でなければいけない」ということ。

ここで冒頭の話に戻る。「土方歳三は真の漢だ」と力説する男性たちと、彼らを横目に首を傾げた私。彼らの意見に対して感じる違和感。土方歳三は確かに格好良い。力があって熱い、男としての魅力に溢れた人物だ。だがしかし、男たちが語るほど素晴らしい男には思えないのだ。 この記事を読んで気がついた。男と女の"憧れる男性像"にはズレがあるという当たり前なことに。司馬遼太郎と佐伯泰英が描き出す主人公。例えるならば前者は「部下から厚い信頼を寄せられる上司」、後者は「OLに愛されるモテ系上司」なのではないか。

人は読書から多くのことを学ぶ。多種多様な考えをそこから得る。 だから時には司馬遼太郎を本棚にしまい、佐伯泰英をそっと鞄に忍ばせよう。 そう、モテ系サラリーマンになるために......。
當間 光沙
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