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『蜘蛛の糸』と美少女たち

[毎日サンデー]
マガ出典雑誌/7月から8月の約2ヵ月。学生たちの長期休暇に合わせ、各出版社で「夏の文庫本フェア」が行なわれる。

「文庫は原作権がないと作れないため、大手以外の参入は容易でない」通説が出版業界には存在する。確かに書店の文庫本コーナーでも、目に入るのは名の売れた出版社名ばかり。
しかし何事にも例外は存在するもの。日本の著作権法により、著者の死後50年たった作品ならばどの出版社でも自由に出版、販売することができる。そしてそこに目をつけたのが「SDP」なる謎の出版社だった――。以上、ここまでが記事の概要である。

SDPとは、一体どんな出版社なのか。実はこれ、大手芸能プロダクション「スターダストプロモーション」の子会社。彼らはどういうわけだか夏の文庫フェアに着目し、自らそのバトルへと身を投じた。

で、問題は彼らの出版した文庫。現在発行されているのは『こころ』『蜘蛛の糸』『たけくらべ』『注文の多い料理店』と、いずれもメジャーで著作権の問題をクリアしているこの4冊。この4冊それぞれの表紙が、なんとまあ美少女のグラビアで飾られているのである。

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思い切り主観で申し訳ないが、一体何がしたかったんだろうと頭を抱えずにはいられない。特に『注文の多い料理店』など全く女気のない物語だったのに。賢治もあの世で苦笑いだ。

いや、わからなくもない。集英社は近年『DEATHNOTE』の小畑健など人気漫画家を起用し、名作のカバーリニューアルを行なっているし、角川書店も数冊の日本文学のカバーをイメージキャラクターである松山ケンイチのグラビアにかけかえた。新潮社ですら何冊かの文庫をポップな色とリッチな質感の装丁に変更して売り出していた。これも全て本を読ませるがために、だ。

だがしかしこの場合、売りたいのは本か、はたまた事務所イチオシの次世代女優たちか。......両方だろうな、とあっさり思えてしまうあたりが悲しくはないだろうか。

売れ行き順調により、夏以降も続刊することになったこのレーベル。その行く末を、個人的に大注目している次第である。
當間 光沙
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