今週の気になるマガジンレビュー
ちょっと気になるトレンドを、編集部がピックアップ。おもしろ・まじめに語ります

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2008年4月 バックナンバー

2008年4月 9日

沸騰するロシア経済

[週刊ポスト ]
マガ出典雑誌/中国、インドの経済成長が脚光を浴びる中、両国に匹敵する注目を集めている国、ロシア。豊富な天然ガス、石油資源を持つこの国は、日本人が苦しんでいる原油高を追い風に、年率7%を超える成長率を遂げています。今週の「週刊ポスト」(小学館)の「団塊マネーもファンドに殺到!『沸騰するロシア経済』」によると、今、ロシアへの投資熱が急激に高まっているようです。

日本では今、ロシア関連の投資信託が人気を集め、資産総額は4000億円を超しています。ロシア関連の投資信託の最大手、「ドイチェ・アセット・マネジメント」の「ロシア東欧株式ファンド」は設定以来、約2年で30%を超えるアップを記録ました。同社の投資セミナーには、500人の定員に対しその10倍近い応募があります。その中心にいるのは、団塊世代を初めとした熟年層だそうですよ。同社の松元氏曰く、もともと超大国のロシアは、原油価格が現在の半分になったとしても、4~5%の経済成長が可能なのだとか。これだけ注目が集まるのも頷けますね。

この様にいわゆる「新興国」の経済成長は、投資のチャンスとしてしばしば好意的に取り上げられますね。もちろん、この様なチャンスに他国に積極的に投資するのは良いことです。しかし、日本が外国人から「投資したい国」とは思われていないことに、もっと危機感を持つべきなのではないでしょうか? 日本人は他国に対する投資には積極的でありながら、日本の企業が外国資本を受け入れることを嫌い、閉鎖的な態度を取る傾向があります。その結果、外国人からは投資がしにくい国であると思われ、せっかくの成長、変革の機会を逃してしまっています。これは、経済成長のためには他国の投資を積極的に呼び込む、という世界の常識からは大きく逸脱しているのです。

人のふり見て我がふり直せ、という言葉がありますが、今の日本は現在のロシアを見習って、「投資したい国」を目指すべきなのではないでしょうか?


吉田隼人

2008年4月16日

ワンコイン文庫

[ダ・ヴィンチ]
マガ出典雑誌/財布の中に500円あったら、あなたは何を買うだろうか。
煙草、カップ酒、いつもは缶コーヒーのところをカフェに行って良いコーヒーにする......。そんな風に嗜好品に走る人も多いだろう。けれど、今回紹介するこの記事はこう提案する。「そのワンコインで、文庫本を買いませんか?」と。

これを読んでいるあなたが読書好きかどうかはわからないが、長年の学生生活などから、文庫本というものが比較的安価で購入できるということは理解していると思う。単行本が安くても1000円はかかるのに対して、文庫本は大抵半額以下。安いものは300円台で手に入れることができる。
ページを開くだけで、新たな知識や世界を垣間見ることのできる書籍。それがワンコインで買えるのならば、投資しない手はないんじゃないか。

というわけで是非参考にして欲しいのが13ページにも及ぶブックリスト。「話題作」「旅先に持っていく」「恋する気持ち」「名作」などなど、様々なカテゴリーがずらり。全てに値段がついているから、実際に書店に行くときにも便利。
また、各ページには文庫本にまつわるコラムも。「単行本を文庫本にするとき、大幅改稿を行なう作者もいる」「文庫本を読むともらえるもの」「解説にまつわるエトセトラ」、どれもこれも文庫本の奥深さを感じさせる。

忙しいとついついおざなりになりがちな、"知的好奇心の追求"。お腹の足しにも財布の足しにもならないけれど、読書というものは、確実にあなたに何かを与えてくれる。ただページを捲って、字を追うだけで。実に手軽である。
さあ、今あなたの財布の中に眠るワンコイン。今日は煙草もお酒も我慢して、本屋で見つけた気になる文庫本のために使ってみませんか?

當間光沙

2008年4月23日

チベットの惨状

[SPA]
マガ出典雑誌/最近、中国のチベット問題が話題になっていますね。聖火リレーの予定地が変更された、フランスが開会式をボイコットするかもしれない......等など、日本では主にオリンピックに関わるニュースが取り上げられているようです。今週号の「SPA!」(扶桑社)では、日本ではなかなか報道されない、チベットの惨状が紹介されています。

ある元僧侶は、中国政府によるダライ・ラマの写真所持の禁止に抗議したところ、中国人兵士により逮捕、投獄されました。彼には激しい暴行や拷問が行われ、検査と称して1リットルの血液が抜かれることもあったそうです。また、一連の騒動の発端となった3月の事件以来、チベットの市街には大勢の武装警察が目を光らせており、事実上の"外出禁止"状態だとか。特に寺院の監視は凄まじく、外部からの食べ物の受け入れも許されていないそうです。記事には、他の亡命チベット人たちによる証言が多数掲載されていて、中国政府による弾圧の苛烈さが訴えられています。

この記事を読むと、日本のマスコミが如何にチベット問題を部分的にしか取り上げていないかが分かります。記事に書かれていること全てが正しいとは限りませんが、この様な日本のメディアで報道されていない事実があることは確かでしょう。日本でも、テレビや新聞ではまったく取り上げられていませんが、渋谷でチベットの開放を訴える大規模なデモがありました(日本の某動画投稿サイトでは、その模様を見ることができます)。

日本のマスコミは様々な事情から、対中国報道は及び腰になっていて、中国にとって都合の悪い事実は中々取り上げません。その姿勢が変わることは当面のところ無いでしょう。だからせめて私たちは、マスコミの報道を全て鵜呑みにする事無く、報道されていることが事実の全てなのか、と疑う姿勢を持っていたいものですね。
吉田隼人

2008年4月30日

世界を制したバトン王子

[AERA ]
マガ出典雑誌/あのシルク・ドゥ・ソレイユの常設劇場が、東京ディズニーランドの近くに誕生する。「シルクとしては日本初の常設劇場」ということで、既に公演期間も12年という大ロングランが決定している。
そこに唯一日本人として出演が決定している人がいる。「バトン王子」――稲垣正史さん(30)である。

恐らくご存じない方のほうが多いだろう。
バトンとは、パレードなどで女の子たちがくるくる回したり天高く放り投げたりしているあの細い棒のこと。正式名称は「バトントワリング」。れっきとしたスポーツの一種である。
稲垣さんはバトントワリング競技男子シニア部門で世界チャンピオンに11回輝き、史上最多である23個の金メダルを獲得した。ファンクラブができるほどの人気を誇っているらしく、大会に出れば女子たちの黄色い声援が飛び交うという。
シルク出演の打診を受けたのは2006年。オーディションを受けに行き、演出家であるフランソワ・ジラールから「ファンタスティックなアーティストだ」と大絶賛される。そして準主役級の大抜擢をされることとなったのだ。

元々シルク・ドゥ・ソレイユに所属している日本人は数名のみ。
「キダムがきます」「ドラリオンがやってくる!」とことあるごとに日本にやってきては抜群の集客力を見せ付ける割に、日本という土地への定着感が薄いなとは思っていた。
そこに今回の常設劇場建設と、日本人出演者の決定。上手くいけば、今後日本の中でエンターテイメントの定番にまで上り詰めるかもしれない。

しかし......この「スポーツで活躍する男性選手にとりあえず"王子"つけとけ!」的な風潮はいかがなものか。どれだけ輝かしい経歴を残していようと、どれだけ彼自身が努力を重ねていようと、「王子」がつくだけで安っぽく思えてしまうのは私だけだろうか。

今後「シルク・ドゥ・ソレイユシアター東京」の全貌が明らかになっていく中で、どうか「バトン王子」の異名が定着しませんようにと祈るばかりである。



當間 光沙