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シリーズ「トップランナー」三木光範氏

[月刊ウェッジ]
マガ出典雑誌/情報化社会、という言葉。今ではブームが去ってかその言葉を聞く事は少なくなったが、今の社会を表現するなら、これほど的確な言葉は他にはないかも知れない。

情報化社会。人々の所有する情報量が増え、情報の価値が上がり、人々の生活が文字情報によって効率的に動いていく。それは、考えようによっては実にすばらしい社会だ。 だが一方で、情報化社会の抱えるこんな問題を取り上げ、社会のあり方を疑問視する人もいる。

同志社大学工学部の教授であり、システム工学や知的システム設計を専門とする三木光範氏は、航空機からコンピュータ、人工知能を埋め込んだ照明まで、幅広い分野で実に大きな成果を上げ続けてきた人物だ。 彼の人生は、自らが『おもしろい』と思うものを追って来た結果なのだという。彼は、現代の『情報化社会』をこう危惧している。

「何がいいかはマニュアルでわかっているからと、それに従って生きる。(中略)そうしてみんな訳知り顔になって、若者までもが老人化してしまった。それでは、新しい発見は生まれません」 「デジタル化とかバーチャル化とか人と会わないとか、実体験の機会が少なくなってきていることで、体験を通じてしか生まれない“感覚”が鈍っているのです。これを止めなければいけません」

昔は、コンビニとかパソコンなんて便利なものは無かった。閉じこもり、パターン化された生活の中で今、体験や感動を伴わない情報だけが過剰に飽和し、我々は、感動や自らの感覚を忘れかけているのかも知れない。 何か、おもしろいと思えるものが周りにあるだろうか。持ち前のマニュアル的な情報で全てを判断し、自らの感性を自己完結させてしまってはいないだろうか。

もちろん、情報化社会、価値のある情報というものを完全に否定する気は毛頭ない。情報化社会になって便利になったこともあれば、多くの不可能が可能になったのもある。 だが、社会がシステム化される中で、閉鎖的、無感動的になっていく我々の生活に、三木氏の言葉は重要なものを警告しているように思えてならない。
野中潔
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