「ジャーナリスト入門」より
[ダカーポ]
日本人が平安の昔から食してきたウナギ、そのウナギが、人工的な養殖が難しく、漁獲量の減少から厳しい状況にあるという事実は、最近ではよくニュースなどにも取り上げられるようにもなった。川を上り成熟するまでの間、豊富な餌を食べ、良好な環境で育つウナギ。そのウナギが著しく減少しているということは、そのまま環境がいかに悪化しているかということを示している、と井田徹治氏は言う。
井田徹治さんが注目しているのは、にわかブームになっているウナギだけではない。20年以上も環境問題に取り組み続け、記事の中でも多くの問題に触れている。地球温暖化、環境ホルモン、そして前述のウナギが関わる問題でもある、『リベット(機械の部品で、鋲のようなもの)抜き』と例えられる種の絶滅。
今、例えるならば地球はリベットを一本ずつ抜きながら、種を一つずつ減らしながら飛んでいる飛行機なのだ。一つ一つは大した影響のないように思えるリベット、しかしそれが抜かれ続け、ある一点を越えた時、全体が一気に崩壊してしまう――。
20年の間、地球環境を見つめ、報道し続けてきた。その言葉は、やはり一言一言が重く、考えさせられるものがある。
『結局、解決策は、草の根から始まることだと思っていますが、その第一歩は、技術への盲目的な過信を捨てることだと思っています』
この言葉は、大学で環境問題についても学んでいる自分にとって、特に印象深い言葉だった。理論的には、二酸化炭素排出が半分になる、というようなことがよくある。
しかし、実際にその理論が実現するかどうかは、やはり別物で、草の根からの意識改革がなければ難しいことなのだろう。
『結局、人間は、生態系のなかで、生き物を利用してしか生きられないのに、それをいつのまにか忘れちゃったということです』。
それは、認めたくなくとも正鵠を射た事実なのだろう。だが、逆に言えば、それを一人一人が思い出すことが出来れば、思い出すような社会を作っていけば、環境の改善はまだ間に合うのだとも思う。
野中潔




