「暖簾にひじ鉄(連載)」と「引退しないでくれ!」 朝青龍事件に対する二つの見解
[週刊朝日]
かつてこれほど相撲が日本の国技であることが叫ばれた事があっただろうか。今やどこの雑誌やテレビでも、現在モンゴルに帰っている相撲の横綱、朝青龍の話題はしきりに取り上げられている。
朝青龍をかばう声もあれば、けなす声もあり、かばうものをけなすものや、けなすものをさらにけなす声もある。この週刊朝日では、かばう声とけなす声を同時に掲載している。「暖簾にひじ鉄」の記事はけなす方だ。「自ら引退を決断することが最良と考える」内館さん(書き手)の朝青龍批判は的確で、説得力がある。
相撲協会による軟禁は、軟禁ではなく、朝青龍自らの『篭城』であり、「何よりも醜悪だった」と厳しい見解だが、長引く騒動の中、その見解に共感する人も少なくないのではと思う。
一方で、「引退しないでくれ!」という声もある。同じ力士であり、同郷の先輩である旭鷲山氏の声だ。
同じ国の生まれで同じ仕事をしているということのみならず、恐らく我々があまり知らないであろう、相撲の外のビジネスのつながりからも、「引退しないで欲しい」という意思を示している。 こちらの記事はかばうというよりも激励に近いが、それでも朝青龍やモンゴル力士の新たな一面を知って、考えさせられるものもある。
個人的には、朝青龍は『仕事に対する認識が甘い』あるいは『反応が子供っぽい』という印象は持ってしまう。いつまでも続くこの騒動が見苦しいと感じる事もある。
だが一方で、今までろくに注目もしていなかった国技が、大事とは言え一つの事件で寄ってたかって取り上げられ、雑誌の紙面やニュースの時間にちりばめられ、身勝手なものも含め過剰な数の意見が飛び交っている現在のこの状況も、多少なり見苦しい感じのするものではあると思う。
野中 潔




