現代の肖像 山田ズーニー
「ほぼ日刊イトイ新聞」内コンテンツ、「おとなの小論文教室。」で人気を博したコミュニケーションインストラクター、山田ズーニーさん。今回紹介するのは彼女のインタビュー記事だ。
“コミュニケーションインストラクター”という聞きなれない肩書きは、大抵「挨拶の仕方」や「電話での受け答え」などのマナーともいえるテクニックを指導する人間が用いている。しかし彼女の教えるコミュニケーションはそれとは違う。一言で言えば、「自分の考えを言葉にして伝えるための具体的な方法」である。
元々はベネッセコーポレーションに勤め、高校生向け教材を編集していた。その際、苦労に苦労を重ねて作ったのが小論文の教材だった。「自分の中にある考えを引き出し、言葉にして相手を説得するというアウトプット型の表現法」は、現在も彼女の中に生かされている。
物事をよく考え、それを言葉で表現することに重きを置く彼女。
一見とてもシンプルなことに思えるが、日常生活の中で実践されているかどうかといったら怪しいのではないだろうか。
テレビやラジオ、そして新聞やインターネットなど、様々なところから私たちは情報を与えられる。しかしそれらはただ私たちの目の前を通り過ぎていくだけで、記憶の中に刻み付けられることなどめったにない。よく「〇〇の事件から半年が過ぎて……」などと言われると、その事件の存在すら忘れている自分に気がつきはっとすることがある。
日々の中で、自信を持って「私は考えている」と言える人がどのくらいいるだろう。
少なくとも、私は言えない。
ましてやそれを表現することができているだろうか。
山田さんの目指す教育は「自分の想いを言葉で伝えられる人を育てる」こと。
一般的な人間に唯一与えられた伝達ツールは言語。ならばそれは中途半端に使用しても全く意味のないものなのではないか。
一所懸命に言葉を使うこと。全ては伝えられないかもしれないが、少なくとも伝えようとする意志を持つこと……。
文章を仕事とする人だけでなく、全ての人間にとって必要なことだと思うのだが。




