20. スピーキングには三つの種類がある
前回のエントリーをご覧いただけばわかるように、スピーキングには、二つの能力が必要とされます。まず、一つは、スピーディーに決まり文句を使いこなす能力です。そして、もう一つが、文章を組み立てる能力です。この二つのうち、どちらの能力が必要とされるかと言うのは、どのように外国語を使うかによってかなり変わってきます。そのため、今回は、関口一郎『「学ぶ」から「使う」外国語へ』(集英社新書)に基づき会話を三タイプに分類することで、どのような時にどのような能力が必要とされるかを見ていきたいと思います。
まず一つ目のタイプは、旅行会話です。上記の本で、著者は旅行会話を、誰かのうちに招待された時に、「ホテルを出てから相手の家にたどりつくまでに最低限必要」な会話だと定義しています。具体的には、切符を買ったり、道を尋ねたり、お土産を買うときに必要とされる会話能力のことです。このような会話では、会話のパターンが決まっているので、文章を組み立てる能力はそれほど必要とされません。基本的には、スピーディーに決まり文句を使いこなす能力があれば十分だと言えます。
二つ目の会話は、社交会話です。社交会話とは、相手の家にたどり着いた後で、ホストや相手の家の家族やその友人と交わす言葉のことです。飲み物を聞かれて自分が飲みたい物を伝えることや、相手に料理の感想を聞かれたりして答えることなどが、社交会話に入ります。この場合も、基本的には用いられる言葉が定式化しているので、スピーディーに決まり文句を使いこなす能力があれば十分です。
三つ目の会話は、コミュニケーション会話で、これを著者は“食事が終わってからの「会話」”と定義しています。ここでの会話は、様々な分野にわたり、それまでのように「状況に適したキーセンテンスをそのまま返球」してればいいというわけにはいきません。この場合には、スピーディーに決まり文句を使いこなす能力に加えて、自分が言いたいことを表すための文章を組み立てる能力が必要になってくるのです。
このように、一口に会話と言っても、状況によって必要とされる能力がかなり変わってくるのがわかると思います。では、ビジネス会話は、この三つのうちどの能力が必要されるのでしょうか?一般的に、ビジネス会話には、社交会話の能力とコミュニケーション会話の能力が必要とされます。例えば、取引先とあって世間話をしたり、電話の受け答えをするのに必要なのは、社交会話です。それに対して、実際に取引の話になって交渉を行う際には、コミュニケーション会話の能力が必要とされます。では、この二つの能力のうち、どちらを先に身につければいいのでしょうか?次回は、それを見ていきましょう。







