仕事がデキる人の“捨てる英語術”
TOEICテストがダメなあの人が、仕事で英語をバリバリ使える理由

« 5. エグザマンとコンクールの違い-TOEICと上手に付き合うための基礎知識1- | メイン | 7. 言語使用と言語能力 »

6. オーセンティシティー
-TOEICと上手に付き合うための基礎知識2-

TOEICと上手に付き合うための基礎知識の2回目ですが、今回はテストのオーセンティシティー(authenticity)という概念について見て行きたいと思います。

オーセンティシティー(authenticity)というのは耳慣れない言葉ですが、ファッション雑誌などでこの言葉の形容詞であるオーセンティック(authentic)という単語を聞いたことある方は結構多いと思います。ファッション業界で使われるオーセンティック(authentic)は「本物の、本物志向の」という意味です。

それに対して、英語テストにおけるオーセンティシティー(authenticity)とは、そのテストが「受験者が英語を実際に使う状況をどれだけ正確に再現しているか」を指しています。言い換えれば、テストのオーセンティシティー(authenticity)とは、そのテストがどれだけ本物っぽいかということです。

例えば、英語で電話の受け答えができる秘書を見つけたいとき、面接でネイティブスピーカと実際にしゃべらせて見るというのはオーセンティシティー(authenticity)の高いテストといえます。なぜなら、この場合は、テストの中に実際に会話をするという技能が含まれているからです。

それに対して、CDなどを使って英語のリスニング問題をする場合、これは必ずしもオーセンティシティー(authenticity)の高いテストとはいえません。なぜなら、この場合測定されるのはリスニング能力だけであり、スピーキング能力は測定されないからです。

このようなオーセンティシティー(authenticity)という観点から考えてみると、TOEICというのがコミュニケーション能力をはかるためには必ずしも優れたテストではないことがわかります。リスニングに関して言えば、例えばpart 1の写真描写問題などは実際の生活では100パーセントありえない状況ですし、またリーディングのpart5とpart6の穴埋め問題も現実にこのような作業を行うことはほぼありえないでしょう。

このような批判を受けてか、旧TOEICでは20問だったpart 1の問題数が、2006年より行われている新TOEICでは10問と半減しました。しかし、TOEICを作成しているETSが作っている留学用の試験TOEFLと比べた場合、TOEICのオーセンティシティー(authenticity)はまだまだ低いです。

例えば、TOEFLでは、穴埋め・訂正問題はなくなりかわりにライティングの比率が増えました。また、リスニングに関しても、TOEICではただ単に問題を聞いてそれに適した解答を選べばいいのに対して、TOEFLではリスニングをした後にその内容をもとにしたライティングやスピーキングを行う必要があります。これなどは、授業を聞いた後にディスカッションを行ったりレポートを書いたりするという留学で必要とされるスキルを再現しているという点において、非常にオーセンティシティー(authenticity)の高いテストということができます。

さて、ここまで読んできた方は、「じゃあ、TOEICではいったいどんな能力を測定しているんだ?」と思った方もいると思います。これに関しては、長くなったので、次のエントリーで述べるようにしたいと思います。


今週のまとめ
オーセンティシティー(authenticity)という観念から見ると、TOEICは、コミュニケーション能力を測るテストとして必ずしも優れているわけではない。

ビジネタ@モバイル
ビジネタ@モバイルとは、メールマガジン「ビジネスのネタ話になる今どきの一般常識」の携帯版です。テレビや新聞を賑わす「トレンド用語」と、ビジネスマンなら知っているべき「ビジネス用語」の解説を、楽々おさえることができます!

詳細・登録

プロフィール

井上大輔(いのうえ・だいすけ)

大学院時代に英語講師を始め、現在は日米英語学院やELSなどで、学生から社会人まで様々な層に英語を教える。大学院卒業後、語学を使った起業を志し、その際に仕事で英語を使うということについて真剣に向かい合うようになり、その結果従来の「英語はできればできるほどいい」という考え方に対するアンチテーゼとしての「捨てる英語術」を思いつく。現在は、大学院時代の専門であったフランス語の語学参考書の執筆にいそしみつつ、ビジネスマンが洋書を効率よく読めるようになるためのプログラムを考案中。

・早稲田大学英文学科卒業、早稲田大学文学研究科仏文修士
・資格 TOEIC 980
『捨てる英語、拾う英語』
井上大輔 著
クロスメディア・パブリッシング
1,470円
2008年8月発売

英語学習DVD
『アメリカのビジネス書が英語で
スラスラ読める』

井上大輔 著
クロスメディア・パブリッシング
19,800円
2007年7月発売
『サッカーで考えると英語はよくわかる』
井上大輔 著
クロスメディア・パブリッシング
1,470円
2006年11月発売
このブログのフィードを取得