仕事がデキる人の“捨てる英語術”
TOEICテストがダメなあの人が、仕事で英語をバリバリ使える理由

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8. 知能テストとしてのTOEIC

さて、これまで見てきたように、TOEICというのは基本的には英語の基礎知識を見るテストです。そのため、TOEICの点数が高いことと、英語を実際のビジネスシーンで使えるかということは必ずしもイコールではありません。なぜかというと、実際に英語を使うときは、英語の基礎知識に加えて、そのときの個別のビジネスシーンに合わせた能力が必要となってくるからです。

例えば、仕事で英語を使う場合であっても、英語でメールを書く場合と英語でプレゼンテーションをする場合は必要とされる能力が異なります。また、これらの作業を行うためには、英語の基礎知識に加えて、その作業に関する知識も必要となってきます。例えば英語でプレゼンテーションを行う場合であれば、英語の基礎知識に加えて、そもそも英語で行うプレゼンテーションは日本語とどう異なるのかという知識や、また英語ではプレゼンテーションを行う際にどのようなフレーズをどのようなタイミングで使うのかという知識が必要になってきます。

ですから、もし英語でプレゼンテーションをしたいのであれば、TOEICの勉強をするのではなく、これらのプレゼンテーションに関する基礎知識を身につけたうえでプレゼンテーションそのものを練習する必要があります。また、英語に関する知識にしても、TOEICのような形式ではなく実際に口頭で話すという形式でその知識を試されるので、TOEICの勉強とは異なる形でその知識を身につけていく必要があります。

このように、TOEICというのは、必ずしも仕事で英語を使う能力を測定するための試験ではありません。もちろん、一般的に言って、英語の基礎知識が高いほうが英語で仕事をする能力が高いので、TOEICの点を上げるために勉強するということはあながちまちがいではありません。実際、仕事で使う英語の基礎知識を測定するという観点から見ると、TOEICというのは非常によくできたテストです。大学受験の英語がその性質上アカデミックなものに偏りがちなのに対し、TOEICはビジネスで使われる英語を幅広く網羅しています。ですから、ビジネス英語の基礎を身につけるためにTOEICの勉強をするのは、非常に合理的だといえます。

しかし、その一方で、もし仕事で英語を使えるようになりたいのであれば、TOEICの勉強だけでなく自分の業務に合わせた英語のスキルを身につけるためのトレーニングを行う必要があります。しかし、実際に英語を勉強している人を見てみると、もっぱらTOEICの点数を上げることに血眼になって、実際の英語のスキルを身につけるための訓練をおろそかにしている人がほとんどです。もちろん、その中の多くの方はTOEICができる=英語ができるという風に考えているからこそこれだけTOEICに熱中するのでしょうが、それにしてもこの熱狂振りは傍から見ると多少度を越しています。いったい何が人々をこれだけTOEICに駆り立てるのでしょうか。

実は、その理由は、TOEICが英語を通した知能テストだからです。何度も言っているように、TOEICで測定されるのは、実際のシーンで英語が使えるかどうかではなく、英語に関する知識をどれくらい知っているかです。このことは、TOEICの問題形式が、実際に言葉を使うシーンではありえないマーク式のみで構成されていることからわかります。

そして、こういった英語に関する基礎知識を問うテストでは、受験者が実際に英語を使ったことがあるかどうかは測定されず、あくまで英語に関する基礎知識のみが測定されます。なので、TOEICの点数を上げるためには、英語を実際に使うことではなく本などを使って英語の基礎知識を詰め込む方が有効になってきます。そして、そのような形で英語の基礎知識を詰め込めるかどうかというのは、かなり基本的な知能に左右されます。

ということは、結局のところ、TOEICというのは対象となる英語の種類やリスニングの重要度が異なるだけで、本質的には大学受験と同じ知能テストなんですね。そして、算出方法に多少差はあれど、TOEICの点数というのは本質的には大学受験の偏差値と同じ役割を果たしているわけです。だからこそ、みんなあれだけTOEICの点数に一喜一憂するわけです。

もちろん、英語ができる人はTOEICができます。しかし、勘違いしてはいけないのは、TOEICができるからといって英語ができるわけではないということです。TOEICの勉強をしてTOEICの点が上がったからといって、それはあくまでTOEIC力がついたに過ぎず、実際に仕事で英語を使えるかどうかはまた別の問題なのです。そして、仕事で英語を使える力をつけるために有効なのは、逆説的ですが仕事で英語を使うことです。

本日のまとめ
TOEICはあくまで英語を通した知能テスト。英語ができる人はTOEICもできるが、TOEICができるからといって英語ができるわけではない。大学受験の影響から、TOEICの点数に振り回されている人が多いが、もうそこから抜け出そう。

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プロフィール

井上大輔(いのうえ・だいすけ)

大学院時代に英語講師を始め、現在は日米英語学院やELSなどで、学生から社会人まで様々な層に英語を教える。大学院卒業後、語学を使った起業を志し、その際に仕事で英語を使うということについて真剣に向かい合うようになり、その結果従来の「英語はできればできるほどいい」という考え方に対するアンチテーゼとしての「捨てる英語術」を思いつく。現在は、大学院時代の専門であったフランス語の語学参考書の執筆にいそしみつつ、ビジネスマンが洋書を効率よく読めるようになるためのプログラムを考案中。

・早稲田大学英文学科卒業、早稲田大学文学研究科仏文修士
・資格 TOEIC 980
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