仕事がデキる人の“捨てる英語術”
TOEICテストがダメなあの人が、仕事で英語をバリバリ使える理由

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2007年7月 バックナンバー

2007年7月26日

9. TOEICで測定されるのはTOEIC力

このところ、何回か続けてTOEICとはどういったテストなのかを説明する記事を書いてきましたが、そのまとめとして今回は“そもそもテストとは何なのか”という記事を書いていきたいと思います。

さて、最近勉強法に関する本が流行っていますが、そこに書かれている英語の勉強法のほとんどがTOEICをはじめとしたテストに対してどうやって対策をするかということを目的にしています。確かに、勉強をしていても英語がどれだけ身についたかというのはなかなか自分ではわからないので、テストをものさしとして自分の勉強の進み具合を確認するというのは、非常に効率的な勉強の進め方と言えます。しかし、このような勉強の進め方には一つ盲点があります。それは、テストで測られる英語力は、必ずしも自分が実際に仕事やプライベートで使いたい英語力と一致するとは限らないということです。

子供のころからテストというものにならされているせいか、私たちはついついテストというものを無条件で正しいものだと思い込んでしまいがちです。そのため、テストの点数はそのままその人の英語力を表していて、テストの点数が高ければ高いほど英語ができると考えてしまいがちです。

しかし、実はこの考え方は正しくありません。なぜかというと、今まで見てきたように、英語を使う場面によって必要とされる英語力が変わってくるからです。言い換えれば、英語力というのは一つではないのです。

テストに慣れていると、何か真の英語力というものが一つ存在して、それがそのままテストの点数に反映されていると考えがちです。しかし、実際にはどのように英語を使うかによって英語力の定義は変わってきますし、そして英語の使い方は英語を勉強している人の数だけ存在します。言い換えれば、英語力の定義というのは、事実上無数にあるわけです。

しかし、テスト時間は有限なので、状況に応じたすべての英語力をテストすることはできません。そのため、テストの開発者は最初に理想とする英語力を定義し、そしてそれに基づいてテストの方法を決めていくわけです。というのはどういうことかというと、それぞれのテストの点数でわかるのは、あくまでそのテストの作成者が理想とする英語力に自分の英語力がどれだけ近づいたかということに過ぎないということです。

もちろん、だからといって、TOEICや英検のような資格にむけて勉強するという事が無意味なわけではありません。これらの試験の点数は、英語の基礎知識の有無をかなり正確に判定していますし、これらの試験に向けて対策することによって、仕事で英語を使うために必要な基礎力を偏りなく養成できるということも事実です。では、何が問題なのかというと、TOEICや英検といった資格試験の点数を絶対視するあまり、点数を上げること自体が目的になるという本末転倒が起こっていることが問題なのです。

資格の試験で測定されるのは、その試験を作った人が理想とされる英語力に過ぎません。言い換えれば、TOEICの点数でわかるのはあくまでTOEIC力であって、実際に自分で英語を使う場面で必要な英語力が身についたかどうかではないのです。そこを勘違いしないようにしましょう。


今週のまとめ
試験で測定されるのは、あくまで作成者の理想の英語力。自分の理想の英語力ではないことに注意しよう。

2007年7月19日

8. 知能テストとしてのTOEIC

さて、これまで見てきたように、TOEICというのは基本的には英語の基礎知識を見るテストです。そのため、TOEICの点数が高いことと、英語を実際のビジネスシーンで使えるかということは必ずしもイコールではありません。なぜかというと、実際に英語を使うときは、英語の基礎知識に加えて、そのときの個別のビジネスシーンに合わせた能力が必要となってくるからです。

例えば、仕事で英語を使う場合であっても、英語でメールを書く場合と英語でプレゼンテーションをする場合は必要とされる能力が異なります。また、これらの作業を行うためには、英語の基礎知識に加えて、その作業に関する知識も必要となってきます。例えば英語でプレゼンテーションを行う場合であれば、英語の基礎知識に加えて、そもそも英語で行うプレゼンテーションは日本語とどう異なるのかという知識や、また英語ではプレゼンテーションを行う際にどのようなフレーズをどのようなタイミングで使うのかという知識が必要になってきます。

ですから、もし英語でプレゼンテーションをしたいのであれば、TOEICの勉強をするのではなく、これらのプレゼンテーションに関する基礎知識を身につけたうえでプレゼンテーションそのものを練習する必要があります。また、英語に関する知識にしても、TOEICのような形式ではなく実際に口頭で話すという形式でその知識を試されるので、TOEICの勉強とは異なる形でその知識を身につけていく必要があります。

このように、TOEICというのは、必ずしも仕事で英語を使う能力を測定するための試験ではありません。もちろん、一般的に言って、英語の基礎知識が高いほうが英語で仕事をする能力が高いので、TOEICの点を上げるために勉強するということはあながちまちがいではありません。実際、仕事で使う英語の基礎知識を測定するという観点から見ると、TOEICというのは非常によくできたテストです。大学受験の英語がその性質上アカデミックなものに偏りがちなのに対し、TOEICはビジネスで使われる英語を幅広く網羅しています。ですから、ビジネス英語の基礎を身につけるためにTOEICの勉強をするのは、非常に合理的だといえます。

しかし、その一方で、もし仕事で英語を使えるようになりたいのであれば、TOEICの勉強だけでなく自分の業務に合わせた英語のスキルを身につけるためのトレーニングを行う必要があります。しかし、実際に英語を勉強している人を見てみると、もっぱらTOEICの点数を上げることに血眼になって、実際の英語のスキルを身につけるための訓練をおろそかにしている人がほとんどです。もちろん、その中の多くの方はTOEICができる=英語ができるという風に考えているからこそこれだけTOEICに熱中するのでしょうが、それにしてもこの熱狂振りは傍から見ると多少度を越しています。いったい何が人々をこれだけTOEICに駆り立てるのでしょうか。

実は、その理由は、TOEICが英語を通した知能テストだからです。何度も言っているように、TOEICで測定されるのは、実際のシーンで英語が使えるかどうかではなく、英語に関する知識をどれくらい知っているかです。このことは、TOEICの問題形式が、実際に言葉を使うシーンではありえないマーク式のみで構成されていることからわかります。

そして、こういった英語に関する基礎知識を問うテストでは、受験者が実際に英語を使ったことがあるかどうかは測定されず、あくまで英語に関する基礎知識のみが測定されます。なので、TOEICの点数を上げるためには、英語を実際に使うことではなく本などを使って英語の基礎知識を詰め込む方が有効になってきます。そして、そのような形で英語の基礎知識を詰め込めるかどうかというのは、かなり基本的な知能に左右されます。

ということは、結局のところ、TOEICというのは対象となる英語の種類やリスニングの重要度が異なるだけで、本質的には大学受験と同じ知能テストなんですね。そして、算出方法に多少差はあれど、TOEICの点数というのは本質的には大学受験の偏差値と同じ役割を果たしているわけです。だからこそ、みんなあれだけTOEICの点数に一喜一憂するわけです。

もちろん、英語ができる人はTOEICができます。しかし、勘違いしてはいけないのは、TOEICができるからといって英語ができるわけではないということです。TOEICの勉強をしてTOEICの点が上がったからといって、それはあくまでTOEIC力がついたに過ぎず、実際に仕事で英語を使えるかどうかはまた別の問題なのです。そして、仕事で英語を使える力をつけるために有効なのは、逆説的ですが仕事で英語を使うことです。

本日のまとめ
TOEICはあくまで英語を通した知能テスト。英語ができる人はTOEICもできるが、TOEICができるからといって英語ができるわけではない。大学受験の影響から、TOEICの点数に振り回されている人が多いが、もうそこから抜け出そう。

2007年7月11日

7. 言語使用と言語能力

前回のエントリーで書いたように、TOEICのテストというのは、かならずしもコミュニケーション能力を測るテストとして優れているわけではありません。なぜかというと、「受験者が英語を実際に使う状況」をあまり正確に再現していないからです。では、いったいTOEICの点数は何を表しているのでしょうか?

実は、TOEICの点数で表されているのは、英語に関する知識なのです。これは、問題を見れば、日を見るよりも明らかです。前回も延べたように、英語を使う能力を測定するためには、受験者の人が実際に英語を使う状況にできるだけ近い設定の中でテストを行う必要があります。

しかし、TOEICではこの原則が守られておらず、すべての問題は現実のコミュニケーションではありえないマーク式です。また、設問内容の多くは、単語や文法に関する知識を問うものです。これらのことから、TOEICで測定されているのは、英語を実際に使う能力ではなく、英語に関する知識であることがわかります。

さて、そうするとここでまた新たな疑問が一つわきあがってきます。果たして、英語に関する知識を測定する試験の成績から、英語を使う能力がわかるのでしょうか?

まず、英語の知識がまったくない人よりもある人の方が英語を使う能力が高いということは、直感的にわかると思います。ですから、英語の知識と英語を使う能力は何らかの形で関係があるということに関して問題はありません。むしろ問題なのは、「英語の知識と英語を使う能力はイコールなのか?」ということです。

もしも英語の知識=英語を使う能力であれば、TOEICの点数はそのまま英語を使う能力を繁栄していることになるので、仕事で英語を使うためにはTOEICの勉強をすればいいということになります。逆に、英語の知識=英語を使う能力が成り立たないのであれば、英語を仕事で使うためには、英語の知識をつける勉強とはほかに英語を使うための訓練を行うことが必要になってきます。はたして、どちらなのでしょうか?

解答を先に言ってしまえば、英語の知識=英語を使う能力という等式は成り立ちません。その理由は二つあります。一つは、英語を実際に使用する場で、英語の知識が必ずしも必要になるわけではないからです。二つ目は、どのような英語知識を必要とされるかは、英語をどのようなシーンで使用するかによって異なるからです。

日本語の例を考えてみればわかりますが、例えば日本語学者だからといって、消費者の購買意欲を誘うようなコピーを書いたりセールストークをしたりできるわけではありません。その言葉についての知識が豊富であればあるほど、その言葉をうまく使えるというわけではないのです。次に、では購買意欲を誘うようなコピーを書く事のできるコピーライターが、常に上司を納得させられるような企画書を書き上げられるかというと、必ずしもそういうわけではありません。同じ書くという分野でシーンが異なれば、必要とされる知識は異なってくるのです。

以上見てきたように、英語の知識=英語を使う能力という等式は必ずしも成り立ちません。確かに、一般的に言って、英語の知識が多い人は英語を使う能力が高いといえます。しかし、ある程度のラインを超えたら、その後は英語に関する知識ではなく英語を使う能力が大切になってきます。また、英語を使う上で必要な英語の知識というのも必ずしも一枚岩ではなく、シーンごとに必要とされている知識が異なってくるのです。

一般的に、日本の英語教育では、英語に関する知識と英語を使う能力がごっちゃにして考えられがちです。また、シーンによって必要とされる英語の知識が代わるという考え方はあまり受け入れられていません。だから、教師の中には、英語に関する知識を身につけばどんな場面でも英語は使えるようになるという風に主張する人が多いです。その結果、TOEICの点数が高くなれば英語は使えるようになるという風潮が蔓延してしまいました。

しかし、実際は先ほど見たように、英語に関する知識と英語を使う知識は違いますし、またシーンによって必要とされる英語の知識は違います。ですから、社会人で自分が実際に仕事で英語を使っていきたいと考えている人は、闇雲にTOEICの点数を上げようとする前に、自分がどのようなシーンで英語を使うのかをもう一度考え直してみましょう。そして、そのシーンがはっきりしたら、その後は自分に必要のない知識は捨ててしまい、自分に必要とされている知識だけを身につけるようにしましょう。

まとめ
TOEICの点数は、あくまで英語に関する知識量を示しているだけで、実際に英語が使えるかを示してはいない。英語を実際に使えるようなりたいなら、実際に自分がどういう風に英語を使いたいかをまずイメージしないといけない。

2007年7月 4日

6. オーセンティシティー
-TOEICと上手に付き合うための基礎知識2-

TOEICと上手に付き合うための基礎知識の2回目ですが、今回はテストのオーセンティシティー(authenticity)という概念について見て行きたいと思います。

オーセンティシティー(authenticity)というのは耳慣れない言葉ですが、ファッション雑誌などでこの言葉の形容詞であるオーセンティック(authentic)という単語を聞いたことある方は結構多いと思います。ファッション業界で使われるオーセンティック(authentic)は「本物の、本物志向の」という意味です。

それに対して、英語テストにおけるオーセンティシティー(authenticity)とは、そのテストが「受験者が英語を実際に使う状況をどれだけ正確に再現しているか」を指しています。言い換えれば、テストのオーセンティシティー(authenticity)とは、そのテストがどれだけ本物っぽいかということです。

例えば、英語で電話の受け答えができる秘書を見つけたいとき、面接でネイティブスピーカと実際にしゃべらせて見るというのはオーセンティシティー(authenticity)の高いテストといえます。なぜなら、この場合は、テストの中に実際に会話をするという技能が含まれているからです。

それに対して、CDなどを使って英語のリスニング問題をする場合、これは必ずしもオーセンティシティー(authenticity)の高いテストとはいえません。なぜなら、この場合測定されるのはリスニング能力だけであり、スピーキング能力は測定されないからです。

このようなオーセンティシティー(authenticity)という観点から考えてみると、TOEICというのがコミュニケーション能力をはかるためには必ずしも優れたテストではないことがわかります。リスニングに関して言えば、例えばpart 1の写真描写問題などは実際の生活では100パーセントありえない状況ですし、またリーディングのpart5とpart6の穴埋め問題も現実にこのような作業を行うことはほぼありえないでしょう。

このような批判を受けてか、旧TOEICでは20問だったpart 1の問題数が、2006年より行われている新TOEICでは10問と半減しました。しかし、TOEICを作成しているETSが作っている留学用の試験TOEFLと比べた場合、TOEICのオーセンティシティー(authenticity)はまだまだ低いです。

例えば、TOEFLでは、穴埋め・訂正問題はなくなりかわりにライティングの比率が増えました。また、リスニングに関しても、TOEICではただ単に問題を聞いてそれに適した解答を選べばいいのに対して、TOEFLではリスニングをした後にその内容をもとにしたライティングやスピーキングを行う必要があります。これなどは、授業を聞いた後にディスカッションを行ったりレポートを書いたりするという留学で必要とされるスキルを再現しているという点において、非常にオーセンティシティー(authenticity)の高いテストということができます。

さて、ここまで読んできた方は、「じゃあ、TOEICではいったいどんな能力を測定しているんだ?」と思った方もいると思います。これに関しては、長くなったので、次のエントリーで述べるようにしたいと思います。


今週のまとめ
オーセンティシティー(authenticity)という観念から見ると、TOEICは、コミュニケーション能力を測るテストとして必ずしも優れているわけではない。