2. 英語はできればできるほどいいのか?
さて、「仕事がデキる人の“捨てる英語術”」の2回目となる今回は、「英語はできればできるほどいいのか?」ということについて考えていきたいと思います。
まあ、当たり前と言えば当たり前の事なんですが、英語を勉強してる人の間では「英語はできればできるほどいい」と言う考え方がはびこっています。しかし、実際に仕事で使うと言う側面から見ると、これは必ずしも当てはまりません。なぜなら、学ぶためには、その分のコストがかかるからです。
学生の間は、学びにかかるコストを考えなくていいので、学べることはすべて学ぶべきかもしれません。しかし、社会人になってくると自分の行動に対してコストが生まれてきます。そのため、たとえ客観的に見て学ぶべき価値のあるもので、その結果得られるアウトプットの価値が学びにかかるコストより小さいのであれば、それは学ぶべきじゃないということになります。
例えば僕の場合、青色申告の帳簿を自分でつけられるようになるために、今年から簿記3級の勉強を始めたのですが、これに関してはおそらく3級を実際に取ることはないと思います。なぜかというと、英語講師や語学参考書の執筆といった仕事には在庫や仕入れなどの概念が存在せず、個人商店で必要とされるような複雑な仕分けについて学ぶ必要がないからです。
通常、仕事について何かを学ぶ際は、このようにまず自分に何が必要かということをきちんと見極め、その範囲に収まるものだけを身につけようとします。なぜかというと、その知識を使って仕事をするのが勉強のメインであって、その知識自体を学ぶことが勉強のメインではないからです。
もちろん、自分が学ぼうとする分野に関する専門的な知識を身につけるのは、いいことです。しかし、それを仕事で使うことよりも、それを学ぶことが先になってしまえば、本末転倒といわざるを得ないでしょう。僕の場合も、この先事業が拡大した場合は、さらに簿記や経営といったことについて学ぶことになると思いますが、当面は現状の知識で十分なので、簿記の知識を身につけることよりも目の前の仕事に専念して行こうと思っています。
そして、これと同じことが英語を学ぶ上でも当てはまります。抽象的な自己啓発という目的を除けば、ビジネスパーソンが英語を学ぶのは、仕事で英語を使う必要性があるからです。英語がそのものができるようになりたいからではありません。
しかし、英語の場合学校で教えられているということもあり、「英語はできればできるほどいいんだ」というイデオロギーは学習者の頭に非常に強固に頭にこびりついています。そのため、英語を勉強している方の多くはどうしてもこの考え方から抜け出せず、結果としてTOEICの点数を必要以上に重視してしまうということが多く見受けられます。
このようにならないためにも、まずは「英語はできればできるほどいいんだ」という考え方を捨ててしまいましょう。英語は仕事で必要とされる分だけできればいいのです。客観的な英語力を他人と比べる必要はありません。仕事で必要とされる英語力があれば、TOEICの点数なんて何点でもかまわないのです(注 そもそもTOEICはあくまで受験者内での相対的な英語力を測定するものであり、仕事の各シーンで英語を使えるかどうかは測定していません。この点については、後日述べたいと思います。)
むしろ、今仕事で必要とされる英語力より自分の英語力が上であることは、仕事で必要とされる英語力より自分の英語力が下であることと同じくらい悪いことだと考えるようにしましょう。なぜかというと、自分の英語力の方が仕事で必要される英語力より上の場合、せっかく自分が身につけたスキルを有効に使っていないからです。
ですから、MBAのように現状より上の英語力をつけることがそのまま仕事に役に立つという場合を除いては、まずは「仕事で必要とされる英語を身につける」事を目指すようにしましょう。客観的な意味で、「英語ができるようになる」ことを目指す必要はありません。なぜなら、もし自分の仕事振りが認められて仕事で英語を使う範囲が増えていけば、仕事で身につけなければならない英語の範囲も広がり、結果として客観的な英語力も上がっていくからです。
仕事で英語を使えるようになるためにも、「英語はできればできるほどいい」という考え方は、今日で捨て去ってしまいましょう。







